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虹の橋を戻って。


by gab_golden
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スワロフスキーホウキ

あーぼくだよーあやくんだよ。うんそうだよ。
良い子のみんなが連休中にキチドクに集まってねー、ぼくが設置しておいたチャコマッティに子犬たちが行列をしてねー、みんな『といちっこ』でたっぷり借りたおかねでキチドクは大繁盛だったねー。
限度額はないように設定しておいたからねー、良い子たちは湯水のごとく借りてねー、ぼくは『濡れ手に粟』という現象を17年生きててはじめて見たよー。
ありがとうございます。

ところがねー、連休のある日、ぼくは庭に遊びにきていたどこかの子犬がボールを垣根の向こうに落っことしたのを拾ってやろうとしてねー、足をふみはずして4メートルもある段差を落っこちてしまったよー。
うちは坂の上に建ってるからなー、庭の向こうの道路は4メートル下だよー。
落ちる瞬間にねー、マミーの方を振り返ったら、マミーが目を見開いてかたまっていたよー。
「マミー! おちるよ!」
って目で言ったけどねー、そのときぼくはもう空中を落下中だったよー。
ある意味ねー、これは自殺行為とも言えるなー。
自分で落ちたんだからなー。
ぼくの一生が走馬灯のようにリプレイされたよー。
生まれたときからマミーに出会ったとき、ニューヨークの密室でマミーにVogueを投げつけられたときやねー、ちっぷが引っ越していった日、ガブ子に一目惚れしたときやねー、亡くなったおじいちゃまのおでこをガブ子がぺろりんと舐めた瞬間に家族全員がかたまったことやねー、虹の向こうに旅立つガブ子を見送ったとき。。。ぐすん。。。ミカミがやってきて、バブーがうちの庭でリセットしたときもねー。
そしてあと1秒でコンクリートに叩き付けられると覚悟した時にねー、なんだかいちご柄のトランポリンみたいなものが目の前に出現してねー、ぼくはふんわりと受け止められたんだよー。
ぎゅっと閉じた目をおそるおそる開けるとねー、ガブ子の顔が目の前にあったよー。
「あら、やだ、あーた! こんなとこでなにしてんの?!」
どうやらガブ子はゴミ出しをしたあと、道路をホウキで掃いていたみたいでねー、ミノとジープが通りかからないかときょろきょろよそ見しながら掃いていた(掃くふりをしていた)みたいでねー、なかなかミノが来ないからホウキを壁に立てかけて、イチゴ柄のエプロンを両手で広げて可愛いエプロンをした自分に酔っていたところにねー、ぼくが偶然落ちてきたみたいなんだよー。
「いやだあーた、なんでこんなとこに落ちてきたわけ? ミノがきちゃうから早く行っちゃって行っちゃって!」
って、手で払うようにぼくを追いやったよー。
仕方がないからねー、坂道を上って家に帰ったよー。
玄関から家に入ってキッチンに行くとなー、マミーが庭の向こうの垣根に向かって
「あーやーーーーーん!!! 死なないでーーー!!」
って泣いてたよー。
だからねー、ぼくはマミーの背中をぽんぽんっとたたいて言ったよ。
「今帰ったよ。ガブ子が下で道路を掃いてたよー。
  上出来の奥さんだねー、ひとつ上等のホウキとチリトリを買ってやらなくちゃなー。
  柄のところにスワロフスキーのたくさんついた、キラキラのホウキが似合いそうだなー。」
「あやくん! 生きてたの?!」
「うんそうだよ。ガブ子の広げたエプロンに着地したよ」
ガブ子とはなにか縁があるんだねー。
ガブ子にわけてもらっちゃった人生だからねー。
簡単に死なないよー。
今月ぼくは17歳になります。あれ? 18歳か?
by gab_golden | 2009-05-10 20:48 | あやくん