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虹の橋を戻って。


by gab_golden
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秋なすは。。。

校長先生が、30年間使いつづけたプールの発射台(飛び込み台ともいう)に、『キケン!とびこむな!』という札をはりました。
危険だからです。
そして、発射台をとりかえるにあたり、「一体どこにちゅうもんすればいいんだろーう?」と知恵を絞っているところに、業者さんが進言しました。
「サーフボードを削る人に、お願いしましょう。似たようなもんですよ。」
それで、サーフボードのシェイパーが、発射台を作ることになりました。
ただし、『シルバークイック!』とか、『ティミーパターソン!』とか、『Kd』とか、かっこいいマークを決して入れてはいけません。
色は、むかしながらの学校プールの水色にしなければいけません。
形は、なめらかなカーブを描いては決していけません、長方形にするのです!
シェイパーは、一生懸命発射台をつくり、きれいな水色に塗って、シヨミ家に納品されたころには季節は秋の声を聞く頃になっていました。
もうミンミンゼミも鳴いていません。

がぶこです。

「いったいどうしていまごろ発射台がきたんだろーう?」
みんなで知恵を絞って考えましたが、誰にもわかりませんでした。
とにかく、ことしはもう発射台としては使えない感じです。
わたしは校長先生のところに届いた直径6センチもある巨大なきゅうりを2枚、薄くスライスして、真ん中にお菜箸で穴を開け、目の上にはりつけ、届いたばかりの家庭画報と枕用のクッションを抱え、ガラス戸をあけてお庭に出ました。
右を見て、左を見て、いちばん適当なのはやっぱり発射台だと考え、まだ誰も使ったことのないおニュウの発射台に仰向けに横たわりました。
やっぱりわたしの身長にぴったりの長さです。
プールの水面に浮いた発射台の上で仰向けになり家庭画報を持ち上げるのはちょっと大変ですが、キュウリに開けた穴から今月の『おしゃれの早耳』を読み込みました。
ときどき、キッチンの方からみんなの楽しそうな笑い声が。。。その度にちょっと頭だけ起こして、キュウリの穴からキッチン方向をチェックします。
どうやらわたしに内緒で特別おいしいものを食べているわけでもなさそうだと確認できると、また頭をもどして家庭画報の続きを読み込みます。
校長は、どうやら遊びに来たおかあさんに、残ったキュウリに塩をふりかけておすすめしているみたい。
そのうち、午後のまどろみがわたしの脳をぐにょぐにょに溶かして、わたしは夢のなかへ突入しました。
眠くて眠くて、家庭画報を持ちあげ続ける力が腕からスゥーーーっと抜けていくのを感じました。
重たい家庭画報は水の底へ沈んでいきました。
プールの水がわたしの脇腹に反射して、キラキラと銀河の中で遊泳しているような気分でした。
夕方、目が覚めると家はしぃーんとして誰もいませんでした。
あやくんもどこかに行ってしまったみたい。(わたしの高島屋のお支払いがのこっているのできっとそちら方面に行ったのでしょう。帰りにきっと新しいキュウリを買ってきてくれることでしょう!)
洗面所に行き、しなびたキュウリをはがすと、またもや目の周りがパンダみたいなぽちゃぽちゃの垂れ耳の女の子が鏡に映っていました。
まあいいわ。
今日はでかけないんだし。
もう秋です。家庭画報には、『秋なすは、嫁に喰わすな』と書いてあったっけ。
わたしはシヨミ家のヨメとして、「今日は茄子を食べないようにしよう」と決心しました。
by gab_golden | 2008-09-12 06:25 | おしゃれ&メイク